名前の由来
今から20年くらい前のまだ祖母が生きていた頃に、
親族が集まり、福井県の山奥の温泉に旅行に行った時でした。
彫刻家を目指していたその頃の私は、夢中で鉄の彫刻に取り組んでいた頃だったとおもいます。
旅館の前の石垣に祖母と腰を下し、母がチェックアウトをするのを待っていた時でした。祖母は私たちが座っている石垣の直ぐ後ろに生い茂る、大きな木を見上げながら、
「なあ、久美よ。周りの木を見てみぃ。
たった一本の枝だけで立つ木はないやろぅ?
木はた~くさんの、枝を付けて大きくなるんにゃ。
おまえも、た~くさんの枝をこれからつけていかにゃなぁ。」
この時、私はとても嫌な気分でした。
夢に向かって突っ走っていたつもりだったから。
ただ一つのことに向かっていくことのなにが悪いのか・・?
それから月日が経った後もずっと、この時の言葉が頭の隅にありました。
そしてある時に気が付いたのです。
「いつのまにか私にもたくさんの枝がある。」
たくさん迷い、遠回りしてきた道
多くの場面で出会った、たくさんの人
これからも広がるたくさんの未来
「おおきな木」
それは、私が一生をかけて育てていきたい木なのです。
そして誰もが、きっと
「おおきな木」を育てていると思うのです。
ここで出会う人たちと、一緒に育てていきたいと願いながら・・。
2014年4月
創造アトリエ おおきな木 / 主宰 ・ 川﨑久美


